【連載5】チャック近藤の昔々

FC会報誌「C.K.Press」(1997年~)に掲載したものを、 月に1度連載します。(画像が不鮮明ですが何卒ご容赦下さい)

昔々第5回

学生生活最後の高校三年生。波乱万丈が待ちかまえているぞよ。

「退学旅行」ん?

辛うじて?三年生になった幸雄「やや」青年も、もう「ほぼ」青年となり、少しは大人の考えを持つようになって参りました。というより、本人自身の家庭の経済状況や友人の人となりを冷静に見るようになってきたのでございます。そもそも高校に入学時から薄々感じていた「貧乏」というものを、高三にもなると確実に理解する事が出来る年齢になったということでございましょう。
さて、勉強の方と言えば相変わらずで、学校へ行くより家で曲を書いている方が自分自身の為になると勝手に思い込んでおりました。が、進級と同時に大きなイベントが有ったのでございます。それは「修学旅行」。
クラスメイトの希望を募れば、「九州だ!」とか「北海道がいい!」とか申しておりましたが、弱小学校としては予算もなく、西へ行っても九州へは届かず「中国、四国地方」へと相成ったのでございます。それも「行き」は寝台、「帰り」は何とか大阪から新幹線にとまあ、こちらも強行スケジュールでございました。ただそんなことより幸雄「ほぼ」青年には一抹の不安を覚える旅行でもあったのでした。それは「学校嫌い」から出席日数の不足では?という事であります。本人ほとんど覚悟は出来ていたものの、担任の先生の前では同情をして欲しかったのか「俺にとっての退学旅行だから」などと開き直っていたのでございました。なんと勝手な生徒だったのでございます。
ともあれ、渋々と参加した「退学旅行」、いや「修学旅行」ではありましたが、学生時代の楽しい思い出の1ページになったのは間違いのないところでござんしょう。

野球ともおさらばさ

適当にやっていたとは言え野球は好き。野球は捨てるといったもののいい加減な決心で最後の夏の甲子園も当然目指したのでございます。まあ、幸雄「ほぼ」青年にとっては試合が出来るという楽しさだけではありましたがね。だが最終戦はもの凄い成績で終えたのでございます。6打数5安打、うち2塁打4本、盗塁4本というもので、しかもあーた、高校三年間の終身打率は3割8分4厘。肩はほぼ100m近く投げられ、脚は100m11秒40の速さ。どうですか?飲むうつ買う…いや失礼、走攻守の3拍子揃っているではないの。
そこで当然?が如く六大学のスカウトの目に留まったのでござんす。幸雄「ほぼ」青年は「身長は171㎝位しかないし、大学行けばお金がかかるし、音楽も出来なくなっちゃうだろうし、ドラフトも嫌だしな…」と進路を音楽に決めていたため即答でお断り。なんでさ、なんでなの?こんなチャンス滅多にないよ。子供の頃大学生に憧れていたのに、しかも無試験で入れて。スネは凸凹になるほどボールを追いかけたってぇ言うのに、あの怪物江川投手の先輩になれたってぇ言うのに…。いやいや、幸雄「ほぼ」青年はここで遅蒔きながらようやく決心がついたのであります。それにここでチャックさんが音楽を選んでくれたから、こうやって今チャックさんの演奏や歌が聴けるのではないか。我々ファンは素直に「やったー!」と喜ぶべきなのではござんせんか?チャックさんだってその方が嬉しいと思うんでござんすがねぇ。ね、チャックさん?「うん」(By チャックさん)

音楽色が濃厚に

野球でスカウトされたのもひょんな事ではありますが、ひょんな事にバンドでコンテストに出るなんてぇことになっちまったのでございます。このコンテストはヤマハの「ポプコン」の前身でございました。この第2回目に出場しまして、東京大会では優勝し、そこから進み関東甲信越大会ではノミネートされながらも敗退。ヨーロッパへの旅も夢と消えてしまったのでございます。でも、このコンテストの紹介新聞の表紙に取り上げられたのは驚きでございました。もっとも内容には特別扱われておりませんでしたがね。へんなの。
また、これから売り出そうというグループ(サウンズ)から3件も誘われ、こちらも興味なくお断り。なんでさ、なんでなの?まあいいじゃないですか。
そんな折り、このころ出来たディスコへの出演が決まったのでございます。場所は浅草、メンバーは高一の文化祭で一緒に演奏したドラマー高島くんと一級下の木村くんと塚本くん。レパートリーはビートルズはもちろん、ストーンズ、1910フルーツガムカンパニー、バーズ、ビージーズなどなど。それにオリジナルを少々というところでございました。
その頃アチコチのメンバーと演奏をしていた幸雄「ほぼ」青年は結構知られていたのでございやして、噂を聞いた音楽野郎達がチョロチョロと聴きに来たのでございます。その中には、先日のオリジナル・コンサートで協力してくれた変態…いや天才ギタリスト・鈴木 登さんもいたのでございます。この出会いは後のチャック近藤の音楽に大きな影響を及ぼすことになるのでございます。
さて、学校も担任の先生の暖かい心のお陰で無事卒業を果たし、いよいよ次回は社会人としての幸雄「ほぼ」青年。いかなる人生を送って行くのやら。お楽しみにー!