【連載26】チャック近藤の昔々

FC会報誌「C.K.Press」(1997年~)にインタビュー掲載したものを、 月に1度連載します。

連載第26回

 ビートルズの専門家になって第一期が終わろうとしています。閑古鳥から盛況になるまでの第一期からメンバーチェンジを行う第二期へ!LadyBubはどんなバンドに!?

厳しい中でもあだ名は付けます

 後日談ではありますが、経営者は「良くても半年。悪けりゃ一年は赤字を見込んでいたのだけれども、3ヶ月でこんなにお客さんが来てくれ軌道に乗るというのは本当にうれしい誤算だった。」とは言うものの送別会も行ってあげることが出来ぬままに、頼りになる「リンゴ」こと城間正博さんは去って行ってしまいました。新メンバーの松田良さんとは満足にリハーサルも出来ぬまま不安定な状況でいよいよ第二期の始まりです。

 当然のようにレパートリーも減ってしまいます。しかしお店はドンドンお客さんを飲み込み、店の外にまで行列の出来る店に成長していたのでした。従ってリクエストの色もさまざまに、あらゆるアルバムからの曲目がリクエストカードを埋め、束になってチャックさんの元へ届くのでした。「日に日にお客さんの増えるのが手に取るようにわかるってぇのにレパートリーが減っちまうのは激しい状況だったよな」。そうでしょうね。お客さんの好みもそれだけ分散しているのだし、リクエストに応えるのは大変だったでしょうね。でも松田さんは既にかなりビートルズの楽曲を演奏でき、本当に即戦力だったそうでチャックさんは「いや、ホントに助かったよ」と言っていました。

 そんな松田さんにもあだ名を付けたそうです。それは「ビッグバード」。セサミストリートの黄色い縫いぐるみのキャラクターです。何でまたそのあだ名を付けたのでしょうか?「だって似てるんだもん」。だそうです。彼は余裕があるのかステージでチャックさんのMC中には後ろにあるアンプによく寄りかかって休んでいたそうです。「おいおいちゃんと参加しろよ」ってよくステージ中に言ったそうですよ。ともあれ演奏のクォリティーが極端に落ちることも無く続けられて良かったですね。

あの店が踊れる場所だったんですよ

リンゴさんがいる頃からですが、お店が盛況になるにつれて各放送局を初めメディアの取材が多く入るようになりました。東京の局は全局。おまけにNHK教育テレビにまで出演したそうです。そういうこともあってかお客さんの中に混じって多くの芸能人も見えたそうです。「覚えているだけでも名前を連ねてみようか?凄い数だよ。」いやいや、読者の方々のご要望があったら次回にでも連ねて頂きたいと思います。また六本木と言う土地柄もあってか色々な外国のお客さんも来たそうです。「そうそう大使館とかプレス関係の方が多かったかな。中には僕の目の前の席で楽しんでくれていたターバンのお客さんもいたなぁ。オイラもビックリだよ」。それって「インド人もビックリ」にかけたんですか?古いギャグなんでしょ?私知りません。

 当時はまだまだ店内で踊ることが禁じられていなかったためにトラブルも多かったようで。もちろん酔っている人も多く気が大きくなっている人がひしめき合って踊るというのは危険ですものね。ってんでだんだんお客さんのクレームが多くなってきたそうです。それもせっかく聴きに、観に来ているのに踊ってる人で見えなくなっちゃうと言うのが一番多かったようですね。でも経営側としては「盛り上がっているんだからこれで良いんだ」と言うことになってしまいますよね。「どういう訳か僕はビートルズをダンス・ミュージックというのが嫌でね。元々僕は音楽を聴いてハチャメチャに興奮して盛り上がったりするタイプではなくて、じっくり聴いて感動するタイプなのよ。まぁお店の方針だから仕方が無いとは思いつつも抵抗があったんだよね。」とチャックさん。でもあのLadybugが演奏をしていた全盛期のように座ってじっくり聴く体制になるまではもう少し時間が掛かったようです。

時代VSクォリティー

さてお店の中身と言うと、お客さんは…何と背広姿のネクタイ族ばかりだったそうで異様な雰囲気でもあったようです。でも今とは違って当時は当然のようにビートルズを愛した人ばかり。お客さんは口々にチャックさんにこう言ったそうです。「いやぁ我々サラリーマンが胸張って入れるライブハウスなんて嬉しいね。しかも飲みながらビートルズを生で聴けるんだから」。そして「どうせビートルズなんてまともに演奏できる訳無いだろうと物見のつもりで来たけれども、ホントに裏切ってくれたよ。お陰で毎週通ってしまう。」と。未だにチャックさんはこの盛況の時代なのか、或いはお店、バンドのクォリティーが生んだものなのか分からないと言っています。「でも残念ながらこういったライブハウスの最近はビートルズが単なる演奏項目で匂いを感じてもらうお店でなくなってしまったんですよね」。チャックさんが出演をしているときに最大のテーマである「ビートルズの匂いを感じてもらう」はもうなかなか巡り会えないんでしょうね。「僕は敢えて、よく『正しいビートルズ』という言葉を発したけれども、その意味はビートルズの曲はビートルズが当然一番良いのが当たり前で、そのコピーをしてビートルズハウスという場所で演奏をするからには、出来る限り忠実に再現する努力をするべきという意味なんです。そうすることによってビートルズを愛する人に支持され本当の良さを伝えられると思うからなんですよ。理屈っぽいかしら?」いやいやそれが自然だしわかりやすいですよ。

「別にビートルズハウスと言う場所でなければアレンジを加えたり、それぞれのスタイルがあっても全然問題無いのですけど、やはりね…」。

う~む、少々お嘆きのご様子。逆に言えば時代がそうさせてしまったのかと言うところなんでござんしょうか。

さて、次回はどんな状況ですかね。おっ楽しみに~!