【連載25】チャック近藤の昔々

FC会報誌「C.K.Press」(1997年~)にインタビュー掲載したものを、 月に1度連載します。

連載第25回「チャック近藤の昔々

 大盛況となった六本木“CAVERN CLUB”。順風満帆の毎日を過ごしていると思っていたのはお客さんだけだったのでしょうか?! まだまだ試練はあったようです。

バンドも従業員も初代は個性揃い

毎日がごった返しの店内。“LadyBug”のメンバーもそういった状態に慣れ演奏も潤滑に進むようになって来たのですが、また新たな問題が起こってきたのでした。それはメンバーのリンゴ(当時はギター&ボーカルだったが)こと城間正博さんが、あの「イルカ」さんのバックを勤めていたため、ツアーのときは時々抜けていたのでした。そのためにチャックさんの古い友人の高津さんという方にエキストラを頼んだり、当時同じ事務所に所属していた廣田龍人さんに頼んだりで、落ち着かない面もあったようです。

しかし城間さんとのデュエットは評判が良かったのです。城間さんは元Bad Boysで、しかもメンバーの中でも楽曲を一番理解していると評判でして、ビートルズの匂いとタイミングを充分に感じられるミュージシャンなのでチャックさんとの息はピッタリ来たそうです。でもこんな裏話を…「リンゴは僕より高いほうも低いほうも少しだけ音域が狭いためにビートルズさながらにコーラスの高低をチェンジしたりしていたんだ。笑っちゃうね。」って何で笑うの? 「いや、ジョンのソロの部分を僕が歌いだしても、サビに来ちゃうとリンゴが歌うはずのポールのパートが高すぎちゃって、そこは僕がポールの高い音へ、リンゴはジョンの低い音へと1曲の中で交代しちゃうんだよ。面白いだろ? リンゴも僕もコーラスのどのパートでも分かるからこんな技も出来ちゃうんだけれど、ま、救済処置というところかな(笑)。」お客さんは気付いていたのでしょうかね。今時そんな技掛けられるのはそういないでしょうね。

さて、オープンから働いている従業員に目を向けてみると、もちろんビートルズ好きで個性豊かな者ばかりでお客さんが呼んでいるのも気がつかず演奏ポーズをとりながらステージを食い入るように観ている者ばかり。チャックさんはお得意の(?)あだ名をつけまくり、店長の幸田さんにはアラレちゃん。そして丁稚(でっち)、日本武尊(ヤマトタケルノミコト)、ホッケなどなど。でも彼らは大好きなビートルズを必死で演奏をしているLadyBugのメンバーをこよなく愛してくれたそうです。最初はビートルズが好きだというだけでアルバイトに来てしまった彼らもおぼつかなかったオーダーやお客さんへの対処の仕方も徐々に慣れ、立派に“CAVERN CLUB”の顔になっていくのが見え、チャックさんもほのかに嬉しかったようであります。

未だに引きずるものあり

そんな中、高津さんにはとても申し訳ないことをしてしまったと、いまだにチャックさんは悔やんでいるそうであります。と言うのも高津さんは福生にお住まいで通勤も大変で、しかも帰りは遅いため朝まで電車もなく大変な思いをさせてしまったそうです。でも申し訳ないとはこの事ではなく、当時無名だった高津さん(現在は作曲やプロデュースなどで広く活躍)には会社(CAVERN CLUB)を始め、お客さんからも風当たりが強く、こちらの都合で呼んだり呼ばなかったり、またギャラや通勤に関しても充分な対応をしてあげることが出来なかったということなのでした。そんな高津さんですがビートルズの特徴である12弦サウンドは重要だと、わざわざ自身の12弦ギターを持ってきてくれたり色々と意見を言ってくれたりで本当に多大な協力をしてくれたのでした。

余談ですが、そもそも高津さんとの出会いはと言うと、あのALBATROSSのギタリスト鈴木登さんのご実家で下宿をしていたのだそうでチャックさんは鈴木さんのお宅で出会ったのでした。読者の皆さんはすでにご存知でしょうが、ALBATROSSのオリジナルの歌詞は英語が主流で、歌詞だけではなく日本の曲なのか?!と疑ってしまうほどの作品が多く、高津さんもその楽曲やアレンジに影響された一人だったのでした。で、チャックさんのたっての願いを聞き入れてくれたのだそうです。でもチャックさんはお願いに行った時に高津さんに言われたそうです。「近藤さんあなたは一体何をやっているんですか(怒り)!? もう2枚や3枚のアルバムを出していなけりゃいけない人でしょう」。チャックさんは言葉もなかったそうです。高津さんには若い頃からの憧れであり目標だったチャック近藤が未だにビートルズのコピーバンドをし、レコードの1枚も出していなかったことに憤りと悲しさが入り混じっての叱咤だったようであります。

さて話が横道にそれてしまいましたね。ま、そんなことで高津さんには4~5ヶ月間手伝っていただいたそうであります。お疲れ様でした。

メンバーチェンジの季節

オープンする以前から問題だったことがついに直面したのであります。チョクチョク休んでいた城間正博さんですが6ヶ月で脱退するということが決まっていたのでありました。分かっていたとは言え、お店はもとよりようやくバンドも軌道に乗って来た矢先と言う時期だったため頭を抱えてしまったそうであります。そこで時期メンバーとして決まったのが、かつて「ノラ」という、やはりビートルズの影響が大きなバンドのメンバーだった松田良一さん(現在は松田良と名前を改め作曲やプロデュースで活躍されています)でした。松田さんはビートルズの曲に詳しく、歌が上手くて声も音域が広く即戦力で本当に助かったそうであります。但し、やはり5ヶ月だけと言う契約だったのでした。ともあれ決まって良かった良かった。

次回はマッチャンこと松田さんのステージ振りと取材や、はたまたマッチャンの次のメンバーへと続きます。次回もおっ楽しみにー!