【連載12】チャック近藤の昔々

FC会報誌「C.K.Press」(1997年~)に掲載したものを、 月に1度連載します。(画像が不鮮明ですが何卒ご容赦下さい)

昔々第12回 

いよいよ自他とも認める最高のALBATROSSが誕生です。心配事はなく、バンドの成長と曲作りに専念できるでしょうか?チャックさんのベーシックな形はここに!?

 本家Bad Boysに入る?ん?解散?!

春になり、長谷川くんことボン太の在籍校である早稲田大学の…何だかよく分からないイベントに出演することになり、週に2度ほどの練習をしたのでありました。場所はと言うと、これまた早稲田の…やはり何だか分からない部室だそうで、がしかし思い切り練習が出来たそうであります。これはホントにボン太さんには感謝しているそうであります。

さて、そのイベントは早稲田と言えば大隈講堂でして、他にもカントリーやらブルースやらのバンドが出演したのであります。チャックさんたちALBATROSSは、何と!ビートルズは“Abbey Road”のB面メドレーをやったそうであります。えーっ?!もうそんなのやってたの?本人曰く「上手く行ったかどうか分からないけれど、とにかくやったことはやった」そうであります。

そんなこんなでALBATROSSは練習に明け暮れていたのですが、覚えているだろうか、以前登場した潮瀬さんから連絡があり、何とあの本家本元のBad Boys がメンバーを捜しているというではあーりませんか。何でもベースでポール役だったお馴染みの清水仁さんがOff Courseに加入するためにBad Boysを抜けるというのでした。「うーむ、ALBATROSSはチト中途半端だが一度会ってみようかと思ってはみたものの、別にビートルズはビートルズでそればっかりってのもな」だそうで、もちろんチャックさんはオリジナル思考なので、ビートルズの専門家になろうなんてぇことはこの頃微塵にも思っていなかったのではありますが、それはそれ優柔不断にも中野のとある事務所へ行ったのでありました。そこにいたのは、これまたTBSビートルズカレッジでもお馴染みのリッキーこと廣田龍人さんだったそうであります。彼はいきなりチャックさんに「“Black Bird”弾いてみてや」と言ったそうな。「あれはきっと僕を試したんだな」と今更ながらにチャックさんは言っております。

それはさておき数回Bad Boysのライブを見た後、実際に音を出してみようと(オーディションだなこりゃぁ)言うことになり、渋谷は「エピキュラス」で顔合わせ。ドラムは今もまだリンゴの愛称で六本木CAVERN CLUBにWISHINGの一員として活躍している城間正博さん。そしてジョージ役の川端さん。まぁ印象はと言うと、リッキーさん以外はあまりやる気がなかったみたいだったそうで、それでも何曲か演奏をしたそうであります。案の定これっきりの話になってしまったのでありました。

やったぜ! これでBest ALBATROSSだ!

そんなことを要所にコロンビアのディレクターから「メンバーチェンジが上手く行っていない」と言われたのがチャックさんもノボルさんも納得していたのか、ボン太ドラマーをよそに新ドラマーを求めていたんであります。これまたひょんなことに、ノボルさんの実家に下宿していた高津さんという方の話からチャックさんとノボルさんは気に入ってしまい、当時19歳の鈴木達哉さんというドラマーが加入することになったのでありました。しかしこれまた乱暴な話で、ボン太さんはいるし、話の内容が気に入ったとはいえ音も聞かないで加入させるなんて今じゃ信じられない話ですね。でもでもでもね、チャックさんは今までのバンドの中で最高だったって…そうなんです。本当に良いバンドでしたよ。機会が有れば聴いていただきたいものです。ここに“Best ALBATROSS”の誕生です。

こうなったらじっとしていられない。唯一「つて」のある「ホテル小涌園」にアタックをかけ仕事をもぎ取ったのであります。そうなったら練習…そうか、ボン太さんが居ないということは早稲田大学は使えないということなのだ、ってなわけで練習は卓ちゃん(川瀬卓也さん)のお家に決まったのであります。だがそこは普通の民家。その上に長屋ときていりゃぁ音なんざ出せるわけがない。ドラムは机を叩き、エレキは電気をつながず生の音。これで練習になるの?

いやいや、ALBATROSSはコーラスのグループ。かえってコーラスの練習が上手く行ったそうなのであります。

仕事は春から夏にかけての4ヶ月。こりゃぁバンドもまとまるし、ピアノの練習もできるし、曲もたくさん書くぞと意気込んで箱根へ。再開した従業員の皆さんも暖かく迎えてくれたそうで、今度こそは楽しい仕事になるような気がしたのだそうであります。

箱根は勉強・結束・成長の場!?

箱根での毎日は朝…とは言ってもこよなく昼に近い朝に起床して、全員で従業員食堂に行き食事をして自由行動となりますが、時には小田原へ降りて買い物やら何やらで仕事の時間まで過ごすこともあったそうです。ただし、意気込んで箱根に来たチャックさんは少々違った時間の過ごし方をしたようで、営業前の「ナイト・サロン」に一人行きピアノを弾き、練習やら曲作りをしたそうな。曲は出来たらすぐにバンドで練習し、その日にはライブで演奏をしてしまうというのがALBATROSSのやり方でありましたが、それだけみんなの息も合っていたのでしょう。

もう一つチャックさんはただ一人やっていることがあったのです。それはNHKの英会話教室を欠かさず見ていたのでした。夜7時半からの30分間テレビにしがみつき、メモを取って勉強していたのでありました。ライブの時間が8時からとあって、英会話教室がある曜日は番組が終わり次第すっとんで「ナイト・サロン」に行っていたそうであります。テレビで勉強をして「ナイト・サロン」でのMCや昼間ホテル内をブラブラして実際に旅行客と会話をして身に着けていったそうであります。もちろん横田米軍基地の友人・ダンさんのご家族のお陰もあって、めきめき英会話の力をつけていったのでありました。

さてさて箱根での仕事も順調にこなし、バンドの演奏力、友人としても結束も固まり、そろそろ先を考えなくてはなりません。毎日のようにライブを録音し、悪いところは指摘しあい、また楽しい演奏はみんなで楽しみ、笑い、どんどん元気になっていくALBATROSS。肝心なのは、如何にレコーディングまでもっていくかと言うことで、チャックさんは楽しさに紛れてしまいがちな毎日ではあったものの頭の中はぐりぐりしていたそうであります。今でこそ全国いたるところに「ライブ・ハウス」なるものが散在しておりますが、この頃はそのようなものはほとんど無く、自作曲やバンドの練習の成果を発揮できるところが無いに等しかったものであります。もちろんプロダクションなるものに入りプロモートをして貰うのも手ではありますが、それも第1期ALBATROSSの時に上手く行かなかったと言うのも障害になり、独立独歩を決め込んでいたため考えは及ばず、ひたすらバンドの成長だけを考えて行動をしていたのでありました。そんなことで実際レコードなんて出せるのでしょうか?!

さて次回はどんな展開になるのでしょうか。おっ楽しみにー!