【連載11】チャック近藤の昔々

FC会報誌「C.K.Press」(1997年~)に掲載したものを、 月に1度連載します。(画像が不鮮明ですが何卒ご容赦下さい)

昔々第11回

第二次ALBATROSSで二回目の箱根へ!果たしてこの5日間は彼らにとってどんな意味を持つのだろうか!? 不安と希望を胸に若き幸雄青年は何を思うか!

新生ALBATROSSで、さあ行くぞ! ん?

約半年ぶりの箱根である。幸雄青年はとても嬉しかったのであります。このホテルは外国人観光客がほとんどで、英語のオリジナルも出来、観光客との会話もでき、ピアノも置いてあってお勉強にはもってこいの職場だったからに他ならないからで有ります。そんな良いところであっても正直なところ幸雄青年は「たったの5日間か。幾らにもならないな」と思ったそうであります。まだこの頃の幸雄青年は実家のすねをかじってバンドのことだけを考えていればいいボンクラだったそうでありますから小遣いが欲しかったのでしょう。いやいや、そんなことはさておき、箱根に到着でございます。

箱根の「ホテル小涌園」はクリスマス・イベントとしてはALBATROSSのみの企画であったそうでした。従業員のみなさんも暖かく迎えてくれ、楽しい5日間が始まる予感がしてまいりました。ではありますが、この5日間で音をきっちりまとめ、コロムビアの田口さんに認めてもらわにゃいかんぞと意気込んで早速ステージに行きセッティング、リハーサルと行きたいところでありやすが、なんと!ボン太ドラマーは新しく購入したドラムに皮も張っていなかったのでありました。みんなでてんやわんやの組み立て開始。と言うのもボン太ドラマーはドラムの皮を張るノウハウを知らなかったのであります。なんじゃらほい。こりゃぁ先が思いやられますでやんすねぇ。

いよいよ仕事の始まりでございまして、さすがに1、2日目はぎくしゃくとした演奏をしてしまったようでした。それもそのはず、二人も新メンバーだったのですからね。幸雄青年とノボルくんの必死の努力と練習で3日目からはどうにか落ち着いてきたのだそうであります。元々ALBATROSSはあれがやりたい、これがやりたいと言ってレパートリーを増やしていたので有りますが、メンバーが増えたこともあってそりゃぁジャンルも色々になったそうであります。もともと幸雄青年とノボルくんは節操のない選曲をするタイプでしたので、そう言ったことは歓迎なのであったそうで、またそれも面白がって受け入れたのでありました。お客さんにもきっと楽しんで貰えたと思いますよ。

いよいよ、チャック近藤誕生!

クリスマスというのは世界中で特別なんですね。この期間でもあらゆる国の人たちが箱根を訪れ、ALBATROSSと出会っていたのです。4日目の昼間だったか幸雄青年とノボルくんがホテル内を散歩(?)していたら、二人の女の子から声をかけられたのだそうであります。(良かった良かったこの二人で。他の二人のメンバーだったら英語が通じなかったものね)なんでも沖縄米軍キャンプの兵隊の家族で旅行に来ていたのであります。のっけから「ここで何をやってるの?」とか「旅行をしているのか?」とか話しかけられ、このホテルの「ナイト・サロン」で演奏をしていると話すと二人の目が輝いたそうであります。それを見逃さなかった二人は「今晩聴きに来ないか?」と誘ったところ、なんと二人の女の子は15歳。そりゃぁ店に入れませんな。後で聞くと店のそばまで来て、こぼれ出る音を聴いていたそうな。可愛いではありませんか。

その後で聞くというのは、翌日の朝出発前になんと幸雄青年とノボルくんの部屋まで「バイバイ」を言いに来てくれたのでありまして、その時のことであります。早朝の出発とあって叩き起こされる形になった幸雄青年たちは、出発前の30分間を楽しく歓談したそうであります。彼女たちの名前は「ベス」と「サブリナ」。別れ際に住所の交換をし、幸雄青年はベスと、ノボルくんはサブリナとその後文通をすることになるのでした。幸雄青年は3~4年ほど文通が続き、毎年送ってくる彼女の写真に驚いていたそうであります。と言うのも、思春期のアメリカ女性の成長たるや目に見張るものがあったそうで、その姿や胸…いや失礼。とにかく驚いたそうであります。

遠く離れているというのは気が楽で、手紙の上ではすっかり恋人気分であったそうです。アメリカの女の子というのは手紙が電話感覚で毎月必ず届いたそうで、時には授業中に書いているとノートを破いた手紙が来たりしていたそうであります。幸雄青年は頑張って書いたものの1ヶ月以上もあくと「どうしたの?何かあったの?」と言う内容の手紙が来たそうな。幸雄青年曰く「毎回同じ文章を書くわけにもいかねぇし、もうネタ切れだよ!」だそうで、そりゃそうですよね。いやー、でも頑張ったね。偉い偉い。

彼女たちと出会って翌年の手紙に、「二人からの手紙」というのがあったそうです。内容はというと「みんなの日本の名前が覚えづらく言いにくいので、イメージでアメリカン・ネームを付けさせて貰った」というものだったそうであります。彼女たち曰く「名前には意味がある」そうで“Yukio→Chuck Noboru→John Takuya→Bill Tsutomu→Mike”の意味を早速調べてみると「Chuck→勇敢な、頼もしい」「OK,OKこれはいただき」だそうで、ここに「チャック近藤」誕生であります。ベスとサブリナ、本当に良い名前を付けてくれて有り難う。お陰でこうして私たちは親しげに「チャックさん」と呼ぶことが出来るのです。イメージピッタリの名前です。チョット褒めすぎかな?

ALBATROSSピンチ!

さて、ちょいと道がそれてしまいましたが、お仕事の方はというと何とかこなしたそうでありますが、短期間と言うこともあってもう一つ満足度が足りなかったようで、確固たるものもなく東京へ帰ったのでありました。案の定コロムビアの方はだんだん感触が悪くなり、「仮に君たちのファンが1000人いたとしよう。その人たちが実際にお金を出してレコードを買ってくれるのは何人だと思う?一割にも満たないのだよ」などと言われ、「メンバーチェンジも上手くいってない」と言われてしまったそうであります。元々コロムビアは当時演歌のレーベルで、ロックやポップは得意ではなかったのであります。う~む、こりゃあなんとかしなくちゃダメだぞ。だって演歌レーベルでALBATROSSを成功させようと思っているんでしょ?まさか演歌バンドになるわけでもないだろうし、でも「ゴダイゴ」がDENNONでどうやら同時進行のようで、アチラは外人が入ってるから強いな。メンバーも決まっていないALBATROSSはかなりピンチでござんすね。文通して名前貰って喜んでる場合ではないのですぞ!ドンドン良い曲を作ったり、行動を起こさねば先が見えてこないんじゃござんせんか?ALBATROSSがどうなっていくのかはチャックさん次第なのですぞ!果たして今後どうなるのか!? 次回のお楽しみにー!